第3章 約束の再会
夢主side
もしかしたら――
「唯ちゃん、ちょっとごめんね」
唯ちゃんに声をかけると私は倉持くんの後を追い、
倉持くんを呼び戻した彼に話しかけた。
「……知らね。誰それ」
そっぽ向いたまま返した彼。
その不貞腐れたような顔は見覚えしかない顔だった。
「ぷっ……はっはっははは。それは無理あるって」
倉持くんが吹き出して笑う。
「なんだよ、やっぱり知り合いじゃねぇか」
「……うっせー」
俯いたままの御幸に何かを察したのか、
倉持くんは先に練習に戻っていった。
「……久しぶり。御幸」
「久しぶり」
言葉が続かない。
「もしかして……拗ねてる?」
「拗ねてない」
そう言いながら御幸はレガースのバックルを乱暴に留めた。
視線は一度もこちらに向かない。
……どう見ても拗ねてるじゃん
「ごめんね。約束、途中から守れなくて……」
御幸side
不意に謝られて準備の手が止まる。
別に約束なんてどうでも良かった。
そんなことよりも俺は――
「別に、そんな事気にしてねえよ……ただ」
「……一度も連絡なかったから、気にはなってた……」
自分でも何を求めて言ったのか分からない。
気がついたらそう口に出していた。
止まっていた手がぎこちなく動き出す。
視線だけが遅れてユキの方へ向いた。
「……ごめん」
ユキはそう言うと、
俯いたままぎこちなく口を閉ざした。
「別に、謝って欲しいわけじゃねぇよ……」
俺が聞きたいのは――
「まだ、続ける気あんのか」
その野球を諦めた目の理由。
「……なんで、そんなこと聞くの?」
ユキは言葉に詰まったあと、
誤魔化すように聞き返してきた。
「答える気ねぇならいい。その代わり――」
……勝手に諦めさせねぇよ
夢主side
「ちゃんと見とけよ。今の俺を」
そう言い残すと御幸はグラウンドへ戻って行った。
その背中を私はしばらく目で追っていた。
ミットの音、掛け声、ボールの軌道――
どれも昔と同じなのに、どこか違って見える。
……未練なんてあっちゃいけない。
そう思ってたのに……
やっぱり――
ダメだ。
野球を嫌いになんて……なれない。