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約束の行方【御幸一也】長編

第7章 約束の結末


それでも沢村くんは何も言わない。
それが答えだった。

――あの試合。
バッターに向かっていったボール。
当たった瞬間のあの音。

沢村くんはまだあの時のマウンドから降りることが出来てない。

……でも、方法はある。

私が口を開く前にクリス先輩が沢村くんの肩を軽く叩いた。

「無理に内に投げなくていい」

沢村くんの顔が少しずつ前を向き始めた。

「今は――外で勝て」
「外でバッターを抑えられるようになれ」

「……外、?」

イマイチピンと来てない様子の沢村くん。
自然と視線はクリス先輩に向かった。

「……アウトロー、ですか?」

クリス先輩は静かに頷いた。

「……そうだ」

クリス先輩がアウトローの説明を沢村にする。
沢村くんの表情が少しずつ変わる。

――何か掴みかけてる。

その表情に、さっきまでの不安と違和感はなくなった。

……これなら、いけそうな気がする。

この感覚は、きっと間違ってない。

私は一歩下がり、そのやりとりを見つめた。

……御幸にも、ちゃんと見せないと。

私は室内練習場を静かに後にした。

扉を閉めた先――

「……見てたか」

不意に声をかけられ顔を上げると、
そこには御幸と、片岡監督の姿があった。

「……御幸」

どこから見てたのだろう……
でも、そんな心配は要らなかった。

「あいつ、気付いたな」

御幸は短くそう言った。
その言葉にはどこか安堵を感じた。

片岡監督が「用がある」と先に寮へ戻ると
御幸は小さくため息をついた。

「また、気付けなかった……」

ポツリとそう言った御幸の肩はいつもより小さくなっていた。

「……違うよ」

自分でも迷いながら口にした。

私は1歩近づくと、御幸の手を軽く握った。

「今、ちゃんと気が付いた……でしよ?」

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