第7章 約束の結末
倉持side
昨日の帰りの時、前原と御幸の様子がおかしかった。
正直、皆自分の気持ちでいっぱいいっぱいだったから、あいつらのこと気にしてるやつなんていなかった。
沢村は今朝もまだしょぼくれてた。
俺はその空気に耐えられなくて部屋を出た。
行くあてもなく廊下を歩いていたら、
スタッフルームの電気が着いてるのが見えた。
……こんな時間から、誰だよ
そう思って部屋を覗くと、
そこには御幸と前原が居た。
「……もう少し早く気づけたかもな」
「うん。でも次は――」
机に広げられたスコア。
真剣な顔。
……なんだよ、あいつら。
昨日負けたばっかだろ。
それでももう、前向いてやがる。
「……ちっ」
小さく舌打ちして、俺はその場を離れた。
――俺も、行くか。
夢主side
3年生の先輩達が引退して、
新キャプテンには御幸がなった。
正直、意外だった。
実力はあれど、人を引っ張るタイプってわけではない。
それでも、哲さんからの強い推薦もあったと聞いて少し納得した。
――何か理由がある。
「キャプテンー!声ちぃせぇぞー!」
「うるせぇ!俺が声張るタイプかよ!!」
グラウンドでは、2年のレギュラー陣や沢村くんに煽られながらも、チームの中心に御幸はいた。
だからこそ、私にできる形で御幸を支えるんだ。
徐々に秋の大会に向けて練習は本格化する中、
私はある違和感を感じていた。
「御幸……今、少しいい?」
「どうした?」
練習終わり、御幸を呼んだ。
「ほんとに、違和感程度なんだけど……」
「沢村くん、調子おかしくない?」
「最近インコースが甘い気はするけどな」
「それなんだけど、私には甘いというより――逃げてるように感じて」
一瞬、御幸の視線が止まった。
でも、すぐにいつも通りの顔になる。
「お前の考えすぎじゃね?」
「そう、だといいんだけど……なんか嫌な予感して……」
「球威やフォームの乱れもないから、ただ精度の問題だろ」
御幸はそう言った。
「そう、だよね」
一度は頷いた。
けれど――
その違和感だけは、どうしても消えなかった。