第6章 約束の行方
昨日の事が頭をよぎる。
鳴の告白。
そして――御幸の事。
好きって……厄介だな……
そう思いながら、ちらっと視線を上げると、
御幸は口を開けては、閉じる仕草を繰り返していた。
何か言おうとしてる……?
でも、結局何も話さずに沈黙が流れる。
私が耐えきれず、
その場から立ち去ろうと一歩踏み出そうとした瞬間
「おーい、お前ら!早くしないとHR遅れるぞー」
間の抜けた声と一緒に倉持くんが顔を出した。
「……ってなんだよ。この空気」
「な、なんでもないよ!じゃ、じゃあ私先に行くね!」
何か違和感を感じていた倉持くんを見て
私は思わず、逃げるように教室へ向かった。
背中へ感じた視線に
私は振り返る余裕なんてなかった。
御幸side
バタバタと去っていったユキの背中を見送る。
「……なんだよあれは」
「いや、それこっちのセリフな」
俺がこぼした言葉に倉持が呆れたようにツッコんだ。
「お前、なんかしたか?」
「してねえよ」
即答したものの、少し昨日の事が頭をよぎる
鳴の告白とユキの表情。
……なんもしてねえ、、よな。
自分で言っておきながら、妙に引っかかった。
「……はぁ」
不意にため息がでた。
「お前がため息とか、珍しいな、明日雪でも降るか?」
「うるせぇ」
倉持のこの軽口が、いつも以上に鬱陶しく感じた。
でも――
「……なんなんだよ」
誰に向けるでもなく、ぽつりと零れた。
今までにない、ユキのぎこちない反応。
それに――
俺も。
その違和感が拭えないまま、時間だけが過ぎ
気が付けば、放課後になっていた。
夢主side
今日は、何をしてても集中出来なかった。
ノートを開いても、ペンを持っても、
気が付けばずっと同じ事ばかり考えていた。
御幸の事
鳴の事
そして――
自分の気持ち。
自覚した瞬間、
全てが違って見えるようになった。
今までの当たり前の距離も、
何気ない会話も、表情も……
全て意識してしまう。
しかし、
御幸には好きな人がいる――
その事実が、胸をより締め付けた。