第6章 約束の行方
しかしそんな御幸を無視して鳴は続けた
「俺、お前をこんなところに置いておくの、無理……前も言ったけど、本気で考えてみてくれねぇか?」
あの時と同じ真剣な眼差しで、鳴は言った。
一瞬言葉に詰まった。
けど――
「……ごめん」
そう言って私は首を横に振った。
しかし、鳴はまだ続けた。
「なんで?そんなに一也との約束が大切なの!?」
……大切かなんて、そんな事考えたことも無かった。
だって御幸との約束だから、理由はそれだけで十分だと思っていた。
私が考え込んでいると、鳴は一歩距離を詰める。
「ならさ……」
「俺の恋人になってよ」
一息飲んでから出てきた鳴の言葉に
私は固まった。
「俺、キャッチャーとしてだけじゃなくて、人としてもお前の事好きだよ。だから付き合ってよ」
鳴の真っ直ぐな言葉に私は思考が止まる。
……嘘でも、同情でもない。
鳴の投げる言葉はいつだって本気だ。
だから――
「……ごめん、今ちょっと返事考えられない……」
私は曖昧な答えを出さなかった。
「今はいいよ」
鳴は笑顔のまま言葉を続ける。
「でも――逃げんなよ」
そう言った鳴の表情は
どこか御幸に対して向かっているようだった。