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約束の行方【御幸一也】長編

第6章 約束の行方


「最近、好きな人できたって断ってるらしいよ」
「え……」

思いがけない言葉に食事の手が止まる。

御幸に……好きな人……?

びっくりしたと同時に、心が少しザワつくのを感じた。

野球以外興味のない雰囲気出してるのに……

ふと、御幸の最近の態度が思い浮かぶ。

鳴に絡まれた時に間に入ってきた御幸。
亮介先輩や倉持くんに御幸との関係でからかわれては少し焦って話題を逸らす御幸。

そして、練習終わりに必ず送ってくれる御幸。

……幼なじみだから。
それ以上の理由は考えた事なかった。

でも、もしかしたら――

一瞬、御幸の方を見ると
ふいに目があった。

急激に顔が熱くなるのを感じ、
すぐに目を逸らした。

「ないないない!絶対ない!」

一瞬過ぎった考えを否定するように、
気がついたらそう口走っていた。

「なになに、その反応ー!さては、なんかあった!?」
「なんにもない!なんにもない!」

慌てて否定したけど、
心の中ではまだどこか引っかかったままだった――

だから聞いてなかった。

「御幸くんの一部のファンが少し過激になってるみたいだから、気を付けてね」

そう忠告してくれてた唯ちゃんの言葉を――



放課後、グラウンドへ向かっていると
「ねぇ」と背後から声をかけられた。

振り向くと、そこには
今朝御幸を呼び出していた女子が立っていた。

「前原さん、だよね?」
「……はい」

その声はどこか低く冷たい。

まっすぐ私を見る視線に少し圧を感じた。

「マネージャーだからって一也と距離近いんじゃないの?」

……一也呼びしてるそっちの方が、距離近いんじゃないの。

そう思った言葉を飲み込み私は事実を述べた。

「幼なじみだし、普通じゃない?趣味が同じ野球なだけだよ」

私がそういうと、その女子は鼻で笑った

「女子のくせに野球が趣味とか……ないわ」
「別にあんたなんかに理解して欲しいとも思わない、けどね――野球を思う気持ちに男も女も関係ないから」

少しだけ冷たい空気が張り詰めた。

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