第10章 猫の日
紅葉と犬、鳥が退室して静寂が戻った執務室。
先に口を開いたのは中也だった。
「何で猫の鳴き真似なんてしたんだ?」
「だって、喋れるの私だけっぽかったし…それに、あの犬と鳥……」
アリスが、ゴニョゴニョと云い始める。
「犬と鳥が、如何したんだよ?」
「……何でもない」
アリスは首を横に振った。
アリスに気付いたときの二匹の反応から察するに、先程来た犬と鳥は、アリスのよく知っている人物なんだろうと予想していた。
それは、中也と絡んだあとにいつも嫌見事を云ってくる紅葉の部隊の新人達ーーー。
いつも向けられる視線と同じだったので、間違いないとアリスは確信した。
「私だけ喋れるってことは、矢っ張り『ハッピーアンバースデー』はちゃんと発動したのかも」
「そうかもな」
撫でながら少し考える中也。
「如何したの?」
「否、お前と姐さんとこの奴との共通点を考えてた」
「確かに謎かも。今判ってるのは女ってことかな?うーん、他に何かあるのかな?」
中也の言葉にアリスも考え込む。
そんなアリスの顎下を優しく撫でてやると、ゴロゴロと喉を鳴らし始めるアリス。
「気持ちいいか?」
「うん」
「本当に猫になってるンだな」
「そうみたい」
ゴロンと中也の膝の上で横になると、中也は嬉しそうに全身を撫でてやった。
「取り敢えず、今から首領の所に行くか。何処に敵が潜んでるか分かんねえから、首領の前では話してもいいが他のやつの前で話すのは控えろ」
「ニャー」
それでいい、と笑いながら頭を撫でてやると、中也はアリスを抱えて立ち上がった。