第10章 猫の日
「え、中也。急に大きくなってない?」
「否、逆だろ。手前が縮んでンだ」
「え。」
そう指摘されて、アリスは自分の姿をようやく見た。
「えぇ!?なにこれ!?私、如何なってるの!?」
「取り敢えず、部屋に入るぞ」
中也は、アリスと思われる猫をヒョイと担ぎ、落ちている衣服を凡て回収すると自室へと向かったのだった。
自室に戻り、ソファの上にアリスを降ろすと、外套をハンガーに掛け、アリスの服を畳みながらアリスに問う中也。
「で?一体どうなってやがる?」
「判んない。中也のお部屋で帰りを待ってようと思って歩いてたら突然呼び止められて、引っ張られ……あ!?」
「あ?」
アリスは何かに気づき、慌てる。
「ネックレスを引っ張られたの!ちゃんとある!?」
「ン?ーーーああ、在るな」
「善かった……あ、指輪は?」
猫の手になった手を見ながら中也に聞くアリス。
「指輪はーーー……無えな」
「!?」
洋服をガサゴソする中也だが、何処にも指輪は引っ掛かっ出ないようだった。
「一寸待ってろ」
明らかに落ち込むアリスの頭を撫でて、廊下を見に行く中也。
暫くして戻ってきた中也の顔を期待するような目で見るアリスだったが、中也は首を横に振った。
「そんな……」
「泣くなッて。手前が無事ならそれで良い。指輪はなんとでもなる」
中也はソファに座るとアリスを抱えて、額に接吻した。
それでも「うぅ〜…」と唸るアリスを膝の上に乗せて、ゆっくりと撫でてやる。
「……御免なさい」
「何で謝ンだよ。悪い事してねーだろ」
「でもっ……」
「ネックレスは在ったのに指輪がないとなりャ、犯人が持ち去ってる可能性だってあンだろ」
「!?」
中也の言葉に、アリスが顔を上げる。
「先ずは元に戻ることから考えるぞ、な?」
「うん」
コクリと頷くアリス。ようやく落ち着いたアリスに安堵すると、再びアリスを持ち上げて口に接吻する中也であった。