第9章 人拐い
「それで目的は?」
アリスはジーッと太宰を見る。
「その子。如何する心算?」
「……。」
太宰はアリスが指差した少女ーーー泉鏡花をちらりと見る。
「姐さんか」
「そ。探してほしいと頼まれてね?」
その言葉に太宰が真顔になる。
「それは情報屋としてかい?それともーーーポートマフィアとしてかい?」
「「!?」」
太宰の言葉に警戒心を顕にする与謝野と鏡花。
その殺気に、アリスはハァ〜〜〜〜と長い溜め息をついた。
「だから治兄には会いたくなかったんだけどなー」
「私は何時でもいいよ?アリスが味方にいれば心強い」
「便利の間違いでしょ」
ジトッとした目でみる。
アリスはてくてくと屋上の扉の方へ歩いていく。
「そんなに心配しなくても連れて帰ってこいとは云われてないから」
「そう?判ってたけど」
「矢っ張り治兄キライ」
「うふふ。中也に宜しくね、アリス」
「本当、最悪。私がどんな目に合うか判ってて態と会いに来たんでしょ」
「勿論。嫌がらせだとも」
「絶っ対に仕返ししてやる」
ベー、と太宰にあっかんべーをするとアリスは扉を開けて、その場から消えたのだった。
「太宰、ポートマフィアッて……」
「あんな成りをしていますが、ポートマフィアの幹部クラスです。次会うときは気を付けて下さい」
「「!?」」
「好戦的では無いから敵意さえ向けなければ戦闘は避けられます。絶対に戦おうなんて思わないで下さい」
「そんなに強いのかい」
「ええ。束になって掛かっても勝てないでしょう」
「……。」
サラリと云った太宰だったが、その言葉に嘘はないことは与謝野も鏡花も理解できていた。
既に敵意を向けてしまっている。だから、太宰が現れたのだろう。
「疲れたでしょう。戻りましょう」
太宰の言葉で、事務所へ戻る3人であった。