第9章 人拐い
そんな女達から視線を与謝野達に戻してアリスは続ける。
「それで?如何する心算かな?」
「あ、ああ…仕事仲間に連絡さえ出来れば直ぐに解決するンだけどね」
「仕事仲間?」
「私達は武装探偵社の社員でね。こういう事件を生業にしてる。名探偵に連絡できさえすれば解決できると思うんだけどね」
「武装探偵社……」
アリスは、矢っ張りそうかと納得した。
行方不明になった泉鏡花が此処に居たのも説明がつく。
「聞いたことあるかい?」
「ある。荒事専門の探偵さん達でしょ?」
「有名になッたもンだねェ」
与謝野がそう言うと、鏡花はアリスの方を見ている。
「なぁに?」
「…貴方が落ち着いている理由は?」
そうきたか、とアリスは内心ごちる。
少し考えて、アリスは口を開いた。
「私は元々こういう性格だし、貴方達と同じで異能を持ってる」
「「!」」
「自分の身くらい自分で守れるよ」
「「!?」」
アリスはニッコリと笑って云うと、手足の枷を外してみせた。
「そんな事出来るならアンタ、何で捕まったりしたんだい?」
「嗚呼、そうだった。えっと……あ、君!」
「え、私?」
一人の、高校生くらいの女子の前に立ち止まるアリス。
「水色の石がついたネックレスを拾わなかった??」
「!」
アリスの言葉に反応する女子。
「それ、私の大事なものなんだ。返してもらえるかな?」
「右のポケットにあります」
そう云われ、アリスは失礼するねーとポケットを漁らせてもらう。
目的のモノが手に触れるとアリスはポケットから手を抜いた。
「やっぱり留め具が壊れちゃってたか…」
「落とし物だと思って、警察に届けようかと」
「有難う。警察に届ける前に回収できて良かったよ」
「え?」
「私、警察みたいな組織嫌いだから」
「そ、そうなんですね…」
アリスはポケットからハンカチを取り出すとネックレスを包んで大事そうにポケットに直した。
「目的も達成できたし、帰ろうかなー」
「否、如何やって帰る心算だい?」
与謝野が呆れた声でアリスに問う。
「勿論、この扉からだよ?」
そう云うとアリスは扉の前に立ち、ノブをひねる。
扉はなんの抵抗もなく開いた。