第9章 人拐い
「……妾達を如何する積もりだい?」
「決まってるだろ?奴隷として売るんだよ。お前みたいな気の強ぇ女も大人しく従順になるようしっかり調教してやるから覚悟してろ」
「そいつは有難い話だねェ」
「今すぐ調教に取り掛かりてぇ位、生意気な眼をしてる女だが…取り敢えず明日だ。精々、綺麗な姿で居られる最後の夜を泣きながら過ごすんだな」
「……。」
『明日の早朝……5時が出発だ。準備しろ』
『はい』
下衆な笑い声を上げて、部下の1人に外つ国の言語で指示を出しながら部屋を去っていく。
「奴隷商だッたか」
「肝心な最後が分からなかった」
鏡花と与謝野が顔を見合わせて話す。
「『明日の早朝5時に出発』するって云ってたよ」
「!?アリス、アンタ外つ国の言語が分かるのかい!?」
「まあ、一寸」
アリスはそう答える。
その言葉を聞いて、他の拘束されている女達が一斉に泣き叫び始めた。
「もうイヤ!家に帰してよ!!」
「そもそも✕✕が寄り道しようなんて云わなきゃこんなことにならなかったのよ!」
「そうよ!貴女のせいで!!」
大声でお互いを罵り合う女達。
「一寸、少し落ち着きな!」
必死で女達を落ち着かせようとする与謝野だが、逆に興奮させてしまったようで怒りに満ち溢れた眼差しを向けられる。
「何よ!?貴女達は連れてこられたばかりだからそんなことが言えるのよ!」
「そうよ!三日も待ってるのに!」
「「……。」」
怒鳴るように言い放つ女達に黙り混む2人。
「ねえねえ。そんなに叫んで楽しい?」
「はぁ!?楽しいわけ無いでしょう!?」
「じゃあ……『一寸、黙ろうか』」
アリスが、冷たい目で泣き叫ぶ女達を見て、静かに云う。
「―!――?!」
「―――!」
必死に手や、大きく口を開ける女達。
「「?」」
口を動かして何かを叫んでいるようだが全く音になっていない。
その光景を不思議そうに観る与謝野と鏡花。
「人のせいにしたり、泣き叫んだりして何が解決するわけ?馬鹿みたい」
「「!」」
アリスの言葉に女達の表情が歪んだ。