第9章 人拐い
「ふぁ~~。一寸は眠れたー善かった善かった」
欠伸をして目をあけたアリスに、呆れた顔する女性が一人。
「アンタ、肝が座ってンねェ」
「そうかな?」
「よくこんな状況で眠ってられるんだか」
「慌てたところで状況なんて変わらないでしょう?」
「まあ、違いない」
「……。」
こんな状況とは、手には手錠が、足には足枷がはめられている状況。
完全に誰かに拘束されているのだ。
「鏡花は大丈夫かい?」
「うん。平気。でも……。」
頷いて返事すると、鏡花と呼ばれた少女は周りを見渡す。
すすり泣く声が其処ら中から聞こえ、その声の主たちの顔は暗い。
鏡花達の他に20人近くの女性が同様に拘束されているのだ。
「コレが最近起きている連続女性誘拐事件の被害者みたいだね。全く」
「如何する?夜叉白雪なら多分……」
「イヤ。相手の素性も、数も、目的も判らない状況で下手に動くもんじゃあないよ。夜叉白雪でも勝てない相手だったら如何すンだい?暫く様子見だよ」
「お姉さん達も随分落ち着いてるね?」
「妾は与謝野晶子ッて云うんだ。で、こっちは鏡花。アンタは?」
「私はアリスだよ……」
軽く自己紹介をする3人。
アリスは名前を聞いて、鏡花と紹介された少女を、ジッと見る。
「…何?」
「貴女が『泉鏡花』?」
「!?そうだけど……何で知ってるの?」
鏡花が警戒する。
「うーん、何でだったかな?」
アリスは首を傾げてみせる。
完全にとぼけているのか、本当に忘れてしまったのか。
その仕草、表情からは読み取れない。
「鏡花、今はそんな場合じャあないだろ」
与謝野の一言で鏡花は警戒をとく。
それと同時だった。
ガチャッ
「!」
扉の開く音が響き、与謝野と鏡花が其方の方を向く。
他の女たちはビクッと肩をあげて驚いた。
「今日の収穫も上々じゃねーか」
「へぃ。有難うございます」
入ってきたのは七人の男。
その内、二人以外は日本人では無いようだ。
聞き慣れない言語で話している。
「アンタ達が誘拐犯かい?女子供を誘拐だなんてなんて屑の極みだねェ」
「はっ!良い案だろ?女だけのグループのみを狙ってるお陰で警察もまだ嗅ぎ付けてねぇからな。そろそろヤバイかもしれねーが今日で最後だ」
与謝野の言葉に男が自慢気に話す。