【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第22章 オーマン×凶兆×夏油
やがてグラスに冷水を注ぎ、氷の音がカランと鳴る。
(ただの熱中症。ただの熱中症。仕事。仕事。仕事。……)
頭の中で繰り返しながら、主人公は再び寝室へと足を向けた。
手にした水の冷たさだけが、妙に現実的だった。
寝室のドアを静かに開けると、先ほどよりは落ち着いたとはいえ、夏油はまだ浅く息をしていた。
ベッドに横たわったまま、片腕で額を押さえている。
「……お水」
そっとグラスを持ち上げた。
「……飲めますか……?」
「……うぅ……」
返事というより、苦しげな呼吸が漏れるだけだった。
(……。)
ほんの一瞬だけ考える。
次の瞬間、グラスを自分の口元へ運び、少量を含んだ。
そして、そっと身をかがめる。
「……。」
慎重に、こぼれないように距離を詰めていく。
そして、夏油の口元へと静かに水を流し込んだ。
ゆっくりと、必要最低限だけ。
(致し方ない……)
(これは応急処置。医療行為。医療行為。医療……)
頭の中で、言い訳のような思考が繰り返される。
(死なれても困る。これは合理的判断……)
そう自分に言い聞かせながら、慎重に距離を保つ。
やがて水を飲ませ終え、そっと口を離した。
顔を上げると、視線がぶつかった。
一瞬、言葉が詰まる。
(……み、見てる)
胸の奥が妙に跳ねる感覚。
小さく息を整えて、視線を逸らさずに言った。
「……応急処置的な……ものです」
ほんの少しだけ早口になる。
そんな声を聴きながら夏油は、ゆっくりと手を伸ばした。
の腕を、弱々しくも確かな力で掴む。
「……しばらく、隣にいてくれないか」
先ほどまでの熱を帯びた声とは違い、少し落ち着いた低い声。
一瞬だけ視線を落とし、小さく息を吐いた。
「……いいですよ」
そう答えて、ベッド脇の椅子に腰を下ろす。
数分。
寝室には、落ち着いた呼吸音だけが残っていた。
夏油の呼吸が少しずつ整っていくのを確認して、そっと立ち上がる。
リビングへ向かい、照明を落とす。
夜の静けさが、さらに深くなる。