【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第22章 オーマン×凶兆×夏油
支えきれなかった重さが、そのままの方へと崩れ落ちた。
「あ——」
どん、と鈍い音。
次の瞬間、視界が一気に近くなる。
夏油の体が、完全に覆いかぶさるような形で床へ倒れ込んでいた。
その下敷きになる形で、背中に硬い床の感触を感じる。
だが不思議と頭は打っていなかった。
しっかりと、夏油の手に守られていた。
「夏油さん…!大丈夫ですか?」
夏油の息がすぐ近くで揺れる。熱を帯びた呼吸が、逃げ場のない距離で重なる。
完全に予想外の体勢。
そして、どう考えても今はそれどころではないのに、距離だけがやけに近い。
「……これは、まずいね」
夏油は小さく息を吐きながら、力なくそう漏らした。
夏油の声は、すぐ耳元で落ちた。
「……すまない。もうしばらく、このまま我慢してくれないか」
「……私は大丈夫ですが」
必死に平静を装いながら答える。
「お水とか…持ってきましょうか?」
「いや、いい。このまま少しだけ……」
それ以上は言わず、夏油はわずかに力を抜いた。
熱を含んだ息が、すぐそばで揺れる。
呼吸のたびに、距離の近さだけが妙に意識されていく。
(……近い)
押しつぶされる圧迫感。
“嫌いではない”
(……って何を考えてるの!)
自分の思考に動揺しそうになって、静かに目を伏せた。
数分後。
「……そろそろ、いけそうだ……」
夏油の声が少しだけ戻る。
「っ……」
立ち上がろうとする気配に、すぐさま無言で支えた。
今度は先ほどのような崩れ方はしないように、慎重に。
一歩、二歩。
ゆっくりと寝室へ。
ベッドに腰を下ろし、横になるのを確認するまで、手は離さなかった。
「……大丈夫、ですか」
「……あぁ」
短い返事。
それを聞いて、主人公はようやく息をつく。
「……お水。持ってきます」
それだけ言って、寝室を後にした。
廊下に出た瞬間、静けさが戻る。
しかし次の瞬間、自分の心臓の音がやけに大きく響いていることに気づいた。
(……なにを私は……!)
胸に手を当てる。
「落ち着け、私……」
小さく呟きながら、深呼吸をひとつ。
吸って、吐いて。
もう一度。