【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第20章 沖縄×任務×A班
その後、小声で(近接戦闘は伏黒先輩に聞きなっ!)
そう呟いてその場を後にする。
「私、ちょっと着替えてくるね~!
さすがにこのままじゃ気持ち悪いし。」
「わかりました」
その背中を見送る。
波の音だけが聞こえる。
しばらく沈黙。
リンはちらりと隣を見る。
伏黒は海を眺めていた。
言おうか。
やめようか。
迷った末に。
「……伏黒先輩。」
名前を呼ぶ。
伏黒が視線だけ向けた。
「なんだ。」
リンは少し躊躇った。
だが。
聞くなら今だ。
「あの……。」
すると。
伏黒の方が先に口を開いた。
「リン。」
「は、はい。」
「俺の視界。」
一拍。
「なんで見るのやめた?」
「え。」
予想外の質問だった。
リンはぱちぱちと瞬きをする。
「なんでって……。」
言葉に詰まる。
伏黒は淡々と続けた。
「見ながら戦えるなら。」
「それが一番強くないか。」
「……。」
リンは固まった。
そして。
数秒後。
「……えっと…そう、ですね…。」
声が漏れる。
本当に。
今まで一度も考えたことがなかった。
「たしかに……。」
「……。」
「やったことなかった……です。」
伏黒は小さくため息を吐く。
「だろうな。」
悪意はない。
純粋な事実だった。
「お前の術式。」
「はい。」
「使い方次第では強いんだから。」
伏黒は海を見ながら言う。
「勿体ない。」
リンは思わず背筋を伸ばした。
褒められたわけじゃない。
でも。
伏黒がちゃんと自分の術式を評価してくれていることが嬉しかった。
「例えば。」
伏黒が続ける。
「お前が、とどめを刺す瞬間を直視するのが苦手なら。」
「……。」
「俺の視界を介して見るっていうのは?」
リンの目が丸くなる。
「それだったら。まだマシだろ。」
「……!」
そうか。
自分の目で見なければならないと思い込んでいた。
でも。
術式を使えば。
他人の視界を借りられる。
だったら。
恐怖も少しは薄れるかもしれない。
「なるほど……。」
「試してみろ。」
「はい……!」
リンの顔が少し明るくなる。
伏黒はそれ以上何も言わない。
けれど。
その横顔はどこか優しかった。