【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第10章 original
湿った土の匂い。
山を抜ける柔らかな風。
木々が生い茂る森の隙間から、午後の光がまだら模様みたいに差し込んでいる。
静かな山道を並んで歩きながら、ハヤミがぽつりと呟いた。
ハヤミ「……なんか、懐かしいな」
その瞬間だった。
──ゾワッ。
山の奥から、濁った呪力の気配が一気に溢れ出す。
ぬるり、ぬるりと。
木々の隙間から、地面の影から、群れるように大量の呪霊が姿を現した。
「うわ……」
小さく眉を寄せた、その時。
呪霊の群れの奥。
ひとり、小さな人影が見えた。
しゃがみ込むようにしている、女の子。
次の瞬間、はハヤミの手を離していた。
「ハヤミ君、ここまかせた……!」
呪力をふわりと纏い、そのまま軽やかに地面を蹴る。
呪霊が一斉にへ飛びかかった。
けれど止まらない。
迫る呪霊の腕を紙一重で避けると、
その勢いのまま空中でくるりと身体を回転させる。
髪がふわりと宙を舞った。
次の瞬間には、別方向から飛び込んできた呪霊の肩を
足場代わりに蹴り、さらに加速する。
最短距離。
迷いのない軌道。
まるで呪霊の隙間を縫うように、軽やかに駆け抜けていく。
ハヤミ「あ、おい!!」
ハヤミが慌てて声を上げるが、すぐに前方の呪霊へ視線を戻し、にやりと笑った。
ハヤミ「……雑魚ども、一気に始末してやる」
バチッ──!!
赤黒い呪力が腕に奔る。
次の瞬間、
──ドォンッ!!!
爆ぜる衝撃が山中に響き渡る。
一方。
「大丈夫・・・!?」
地面にしゃがみ込む女の子を保護する。
ヒナタ「・・・ご、ごめんなさい。近道しようとしたら・・・」
少女の視線が足へ向く。
どうやら、ぬかるんだ地面に足を滑らせ、足をくじいたようだ。
「大丈夫。」
けれど、再会を遮るように呪霊が飛びかかる。
ヒナタ「・・・!う、うしろ!!」
醜く裂けた口。
粘つく腕。
だが一切動じない。
全身を包む呪力が、淡く滑らかに流れる。
「大丈夫だよ」
静かな一言。
次の瞬間、身体を捻るように放たれた蹴りが、
呪霊の頭部を正確に捉える。
──バキンッ。
過剰な破壊音すらない。
洗練された体術と呪力操作だけで、呪霊が霧散する。