【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第9章 春夏秋「冬-3」
(いくら稼いでるの……!?!?)
頭がくらくらする。
自分の知っている買い物の桁じゃない。
けれど夏油は気にした様子もなく、
優雅にサインをしていた。
大量の紙袋が丁寧にまとめられていく横で、
未だに現実感のないまま立ち尽くしていた。
すると、不意に。
先ほどから対応していた執事のような男
──店員が、口を開く。
店員「……愛されていらっしゃいますね」
「……えっ」
その言葉に思わず目を丸くする。
反射的に夏油の方を見るが、別の店員と会話をしている最中だった。
「い、いえ……」
とだけ曖昧に返す。
店員「よくお似合いですよ」
穏やかな声音。
そう言うと、店員は新しいコートをふわりと蘆屋の肩へ掛ける。
「……あ、っ」
慣れない手つきで腕を通そうとして、少しもたついた。
店員は自然な動きで袖を支え、
店員「こちらへ」
と、静かに誘導する。
鏡の前へ立たされる。
店員「失礼します」
丁寧な所作。
蘆屋がぎこちなく袖へ腕を通すと、
店員はコートの形を整えるように肩口へ軽く触れ、
後ろへ一歩下がる。
そして──ふっと微笑んだ。
店員「……これは。見惚れてしまいますね」
「……っ」
柔らかな生地。
上品なシルエット。
明らかに、自分には縁のなかった世界。
どう反応していいのかわからず、
「んんっ……」
と、小さく喉を鳴らしてしまう。
紳士な振る舞いに、丁寧な言葉。
セールストークだとわかっていても何となく、くすぐったい。
そんな蘆屋の反応を見て、店員はどこか楽しそうに目を細めた。
そして少しだけ身を屈め、まるで秘密を囁くみたいに低い声で言う。
店員「……もし許されるなら
このまま、私が連れ去ってしまいたいくらいですが」
さらり。
あまりにも自然に、とんでもない台詞を吐いた。
蘆屋は一瞬ぽかんとして。
「……へっ!?」
数秒遅れて顔を真っ赤にする。
店員はくすりと笑うだけ。
完全に楽しんでいた。
夏油「私の連れを、あまりいじめるのはやめていただけるかな?」
「……っ」