【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第9章 春夏秋「冬-3」
夏油「……大丈夫かい?」
低く、落ち着いた声。
大きな手が、ゆっくりと背中を撫でる。
一定のリズム。
まるで幼い子供をあやすみたいな優しさだった。
夏油「まだ続くが……」
夏油は少しだけ眉を下げ、蘆屋の顔を覗き込む。
蘆屋は息を乱したまま、それでも何度か小さく頷いた。
「……っ、は……ぅ、……はい」
掠れた声。
それを聞いた夏油は、テーブルの紅茶へ手を伸ばした。
夏油「無理にとは言わないよ」
そう言いながら、温かなティーカップを差し出す。
夏油「ゆっくり飲みなさい」
震える指でカップを受け取った。
微かに揺れる琥珀色の水面。
立ち上る湯気から、落ち着く香りがする。
「……っ」
小さく息を呑み、それから恐る恐る口をつけた。
ごくり。
温かい液体が喉を通っていく。
少しずつ、潰れかけていた呼吸が整っていくのを感じた。
その様子を確認してから、夏油は再び静かに口を開く。
夏油「……あの時、君自信が領域を展開したのは覚えているかい?」
責めるような声音ではない。
本当に、丁寧に確認するような口調だった。
蘆屋はティーカップをそっと机に戻して、小さく頷く。
「…ん。」
掠れた返事。
夏油はそれを見届けてから、ゆっくりと言葉を続けた。
夏油「その結果、近くにいた両親や妹を、領域へ引きずり込んでしまったこと」
蘆屋の眉がぴくりと寄る。
けれど夏油は穏やかな声のまま続けた。
夏油「あれは事故だ
気にする必要は無い」
静かな断言。
夏油「……といっても、肉親だ。気にしない方が難しい」
夏油はほんの少し視線を伏せる。
夏油「だがあの状況で君が助かるには、あの選択が最適だった。」
その言葉が落ちた瞬間、救われた気がした。
「…………」
ただ、ぼーっと。
生気を失ったみたいな目で、紅茶の水面を見つめていた。
自分が。
自分の領域が。
家族を。
でも、それは正しかった。
「…………」
何も言えなかった。
ただ静かに、水面を見つめ続けていた。