【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第9章 春夏秋「冬-3」
~ ×夏油傑 ~
ぎぃ、と重たい音を立てて扉が開く。
けれど、その先にあったのは――。
見慣れた廊下ではない。
蘆屋は夏油の服の裾をキュッと握る。
冷たい空気。
微かに香る高級なフレグランス。
柔らかな間接照明。
磨き上げられた大理石の床。
そこはまるで、別世界だった。
無機質なほど綺麗な空間。
ホテルのスイートルームのような、高級分譲マンションの一室。
けれど。
蘆屋は何も反応を示さない。
ただ静かに立ち尽くしている。
その様子を見た夏油が、ふと小さく息を吐いた。
夏油「あぁ、そうだったね……」
どこか困ったように笑う。
そして、ゆっくりと蘆屋へ近づいた。
夏油「少しだけ、失礼」
長い指先が、そっと蘆屋の目元へ触れる。
びくり、と肩が揺れる。
その瞬間。
すー――・・・っと、呪印のような文様が薄く引いていく。
次の瞬間。
視界へ、一気に呪力が通い始める。
「……。」
ゆっくりと開く。
そして。
蘆屋は息を呑んだ。
目の前いっぱいに広がっていたのは――東京の夜景だった。
一面のガラス窓。
その向こう。
静まり返った冬の東京。
白く浮かぶビル群。
遥か下を流れる車のライト。
遠くまで続く光の海。
満月が、そのすべてを淡く照らしている。
高層階。
雲に届きそうなほど高い場所。
現実感のない景色。
「……わぁ……」
ぽかん、と口が開く。
そのまま、ガラスへ近づく。
まるで子供みたいに。
吸い寄せられるように。
「すごい……」
吐息が白くガラスに曇る。
静かな感嘆だけが漏れる。
そんな蘆屋の後ろ姿を、夏油は黙って見つめていた。
その目はどこか穏やかで。
少しだけ――安心したようでもあった。
夏油「・・・気に入ってくれたかな」
穏やかな声音に、蘆屋はゆっくりと振り返る。
夏油は少し離れた場所で、壁へ軽く寄りかかりながらこちらを見ていた。
「どうして私を?」
夏油「んー……そうだね。」
少し考えてから、素直な気持ちを口にする。
夏油「君に興味があってね。」
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