【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
伏黒「俺の術式は知ってますよね?」
ただ、まだ未完成で……」
静かな声。
伏黒「領域も、完成には程遠い」
そう言いながら、少し考えるように視線を落とした。
伏黒「だから……蘆屋先生の呪力を借りて、一時的に領域が広げられないかと思って」
真面目そのものの説明。
けれど蘆屋は、その話を聞きながら別のことを考えていた。
(……そういえば)
ふと、脳裏に引っかかる。
(つい先日、下の名前で呼んでくれてた気が……)
あれは聞き間違いだったんだろうか。
(気のせい、だったかな……)
ぼんやり考えていると。
伏黒「……聞いてますか?」
少し不機嫌そうな声。
「えっ」
はっと顔を上げる。
伏黒がじっとこちらを見ているようだった。
ほんの少しだけ、むっとした顔。
「あ、え、うん!聞いてるよ!」
慌てて取り繕う。
「えっと……呪力供給、だよね」
少し笑いながら続けた。
「やってみる?」
すると伏黒はすぐに真面目な顔へ戻る。
伏黒「お願いします」
蘆屋は小さく頷き、そっと伏黒へ手を伸ばした。
指先が触れる。
そのまま静かに呟く。
「──Zhā relu… en mei・・・Sha'en tōra…!」
空気が、微かに震える。
呪力が流れ始める。
以前の戦闘みたいに乱暴ではなく。
もっと穏やかに。
ゆっくりと。
水が満ちるみたいに、少しずつ伏黒の中へ流れ込んでいく。
伏黒の肩がわずかに揺れた。
「……どう?」
静かに尋ねる。
「わかる?流れこんでるの……」
伏黒は少し目を伏せたまま、小さく息を吐く。
伏黒「……はい」
素直な声。
伏黒「すごいです……」
驚いたみたいに呟く。
伏黒「自分の呪力じゃないのに、かなり馴染みます」
その感覚を確かめるように、自分の手をゆっくり握る。
伏黒「以前、補助監督をしてくれた人から呪力供給を受けた時は……かなり“他人の呪力”って感じがしましたが……」
蘆屋はその言葉に少し笑った。