【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
~ ×伏黒 ~
午前の静かな空気が、部屋をゆっくり満たしていた。
時計の針が進む音だけが、小さく響いている。
蘆屋はソファへ座ったまま、いつの間にか眠ってしまっていた。
早く起きすぎたせいだろう。
包帯越しの視界のない暗闇の中、
浅い眠りへ落ちていたその時。
コンコン、と控えめなノック音が響く。
けれど返事はない。
少し間を置いてから、玄関のドアが静かに開いた。
入ってきたのは、伏黒だった。
伏黒「……失礼します」
低い声。
部屋を見回したあと、
ソファで眠っている蘆屋を見つける。
伏黒「……まったく」
小さくため息。
近くにあった毛布を手に取り、掛けようと近づいた、その時。
「……あ、あれ……」
蘆屋が小さく身じろぎする。
「ねちゃってた……」
寝ぼけた声。
その瞬間。
伏黒「おはようございます」
すぐ近くから声が返ってきた。
「!?!?!?!!」
予想しない所からの声に肩がびくぅっ!と跳ねる。
勢いよく起き上がろうとして、
危うくソファから落ちそうになる。
伏黒が慌てて支えた。
伏黒「あ、……すみません」
少し申し訳なさそうな声。
伏黒「びっくりさせて
ノックしたんですけど、反応なくて……」
小さく弁解するみたいに付け足した。
蘆屋もまだ心臓ばくばくのまま、慌ててぶんぶんっ!と、首を振る。
「ご、ごめん……」
恥ずかしそうに笑う。
「うたた寝しちゃってたみたい……」
伏黒は「いえ」と短く返して、そのまま自然に腕を貸した。
伏黒「立てますか」
「うん……ありがと」
誘導されるまま、ゆっくり立ち上がる。
すると伏黒が、少し真面目な声で聞いた。
伏黒「……視力は、変わらずですか?」
その質問に少しだけ間を置いてから、小さく笑う。
「うん」
穏やかな声。
「何も見えない……
けど、大分慣れたよ!」
にこにこと笑うその様子に、
伏黒はほんの少しだけ眉を寄せた。
伏黒「……そうですか」
少しだけ申し訳なさそうな声音だった。