【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
直哉「今日のところは、勘弁してや。お互いになァ?」
そこで視線が、すっと蘆屋へ向く。
直哉「……先生」
ふ、と。
どこか愉しそうに微笑む。
部屋が静まり返る。
乙骨は刀を構えたまま、一歩も引かない。
その隣で、蘆屋はしばらく黙っていた。
呼吸を整えて、小さく息を吐く。
そして。
「……いいですよ」
静かな声。
「今回は」
乙骨が目を見開く。
直哉は一瞬だけ意外そうな顔をしたあと、喉の奥で笑った。
直哉「ったく……」
ゆっくり立ち上がる。
直哉「えらい目にあったなぁ」
肩を回しながら、何事もなかったみたいに出口へ向かう。
そして扉の前で、ふと足を止めた。
直哉「……君、乙骨くんっていうたか?」
振り返らないまま言う。
直哉「その女」
少しだけ笑みを含んだ声。
直哉「君には重すぎるんちゃう?」
沈黙。
直哉は返事を待たず、くっ、と喉の奥で笑う。
直哉「……まぁ、せいぜい頑張り」
そのまま扉を開け、ひらひらと手だけ振って部屋を出ていった。
最後に、笑い声だけが静かに残る。
直哉が去ったあと、
部屋には静かな沈黙だけが残っていた。
壊れた空気の名残みたいに、まだ呪力が薄く漂っている。
その中で、乙骨憂太はゆっくり刀を下ろした。
視線はずっと蘆屋へ向いたまま。
どこか、まだ安心しきれていない顔だった。
乙骨「……さん」
掠れた声。
乙骨「すみません」
一歩、近づく。
乙骨「僕が離れてしまったせいで……」
その言葉に、は小さく首を振った。
「んーん」
まだ少し掠れた声で笑う。
「見つけてくれて、ありがとう」
緊張が切れたみたいに、ふっと肩の力が抜ける。
そのままソファへ腰を下ろすと、深く息を吐いた。
「安心したら、力抜けちゃった」
くす、と小さく笑う。
乙骨はそんな蘆屋を見つめながら、ぎゅっと拳を握った。
乙骨「……本当は」
静かな声。
乙骨「すごく、焦りました」
あの瞬間を思い出しているみたいに、呼吸が少しだけ乱れる。
乙骨「近くで、特殊な帳が降りたって報告があって……」
乙骨はそこで一度言葉を切った。
乙骨「その帳を見て、すぐさんだって分かって──」