【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
——バキィィンッ!!!!
凄まじい破砕音。
まるで窓ガラスを叩き割ったみたいな音が、領域全体へ響き渡る。
空間が大きく揺れた。
直哉「……なっ」
直哉の目が見開く。
領域の黒に、外側から亀裂が走る。
ありえない。
閉じたはずの空間へ、無理やり穴が開けられていく。
黒い膜が砕ける。
そして次の瞬間。
乙骨「さん!!!!」
聞き慣れた声が響いた。
吹き荒れる呪力の中へ飛び込んできたのは、乙骨憂太だった。
刀を構えたまま、息を乱し、焦ったように周囲を見渡している。
その瞬間。
ぴたり、と。
蘆屋の呪力が止まる。
張り詰めていた空間が、一気に静まり返った。
「……あ」
小さな声。
領域を維持していた集中が、わずかに揺らぐ。
すると、空間を覆っていた黒が、
すぅ……っと霧みたいに薄れていった。
黒い景色が崩れていく。
浮かんでいた光が消える。
床も壁も、元の部屋の輪郭へ戻っていく。
直哉を締め上げていた呪力もほどけ、
彼の身体がどさりと床へ落ちた。
領域展開が、解除される。
最後まで残っていた黒い呪力が、
静かに空気へ溶けて消えた。
「……憂太くん?」
ぽつり、と。
張り詰めていた空気の中へ、小さな声が落ちる。
その瞬間、乙骨は弾かれたように駆け寄った。
乙骨「さん!」
拘束された手首を見る。
ほどけかけた帯。
そして、首に残る赤い痕。
乙骨の顔色が変わった。
乙骨「……っ、そのアザ……」
声が低く沈む。
次の瞬間、振り返った乙骨が鋭く刀を向けた。
乙骨「お前か」
空気が張る。
向けられた殺気は、
さっきまでとは比べものにならないほど重かった。
直哉は床へ片手をついたまま、
げほっ、と苦しそうに咳き込む。
直哉「げほっ……げほ……っ」
乱れた呼吸の合間に、呆れたように笑った。
直哉「……どー見ても、やられとるんはこっちやろ……」
首元には黒い痕が残っている。
領域の呪力に締め上げられた跡。
直哉は息を整えながら、ゆっくり乙骨を見上げた。