• テキストサイズ

【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)

第8章 春夏秋「冬-2」


蘆屋は浅い呼吸を整えるように、
すぅ――……と、静かに息を吸った。

さっきまでの苦しげな空気とは違う。

張り詰めているのに、妙に静かだった。

空間を満たしていた呪力が、
脈打つみたいに規則正しく揺れ始める。

「──Astra nehil.(領域展開)」

直哉が眉を寄せた。

さっきまで拘束され、追い詰められていたはずの存在が、
まるで別人みたいに空気を支配し始めている。

蘆屋は俯いたまま、小さく口を開く。

「……私を」

その声は掠れているのに、不思議とよく響いた。

「ただの、か弱い女教師だと思ってますか?」

黒い呪力が、床を這う。

じわり、じわりと。

まるで生き物みたいに部屋の輪郭を侵食していく。

壁が軋む。

空間そのものが塗り替えられていく感覚。

拘束された手首からも呪力が溢れる。

直哉が目を細める。

直哉「……へぇ」

けれど、その余裕混じりの声も、途中で止まる。

空間の質が変わった。

部屋だったはずの場所が、
もう別の“内側”へ書き換わっていく。

足元に広がる呪力陣。

天井を覆う黒。

視界のない蘆屋は、それでもまっすぐ
前を向いたまま、静かに続ける。

「私……ちゃんと、強いですよ」

その瞬間。

ぶわっ――……と、巨大な呪力が開いた。

空間が裂ける。

床も壁も輪郭を失い、代わりに無数のの黒線が闇の中へ浮かび上がる。

まるで地獄の入り口のような空間。

黒の奥に、淡い光が脈打っている。

音が消える。

直哉の足元まで呪力が侵食し、
空間そのものが蘆屋の支配下へ変わっていく。

そして。

ゆっくり顔を上げ、静かに呟いた。

「──Zei tora.(逃がさない)」

空間が、完成する。

完成した領域は、情景とは似つかわしくない程静かだった。

黒。

どこまでも深い闇の中に、
禍々しい黒線だけが浮かんでいる。

直哉はその中心で、ゆっくり目を細める。

頬にはまだ余裕を含んだ笑みがある。

けれど、その奥にある感情は明らかに変わっていた。

直哉「……ははっ」

乾いた笑いが漏れる。

直哉「お前、とんでもないもん持っとるなぁ・・・」

引きつったような笑み。

興味。
警戒。
高揚。
/ 250ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp