【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
その瞬間。
蘆屋の脳裏に、いつしかの出来事が一気に蘇った。
強引な距離感。
逃がさないみたいな視線。
ぐちゃぐちゃに乱される空気。
「っ……」
思わず肩が跳ねる。
それを見た直哉が、口元だけで笑った。
蘆屋は困ったみたいに乾いた笑いを漏らす。
「……その節は〜……あはは……」
完全に誤魔化し笑いだった。
すると直哉は、そんな反応すら面白そうに眺めながら言う。
直哉「で、どうする?」
「……え?」
直哉「ついてくるか」
淡々とした声。
なのに内容は物騒だった。
直哉「まぁ、ここで犯したってもええけど」
「っ!?」
直哉「選べ」
さらっと言い切る。
蘆屋は完全に言葉を失った。
けれど、この男が“冗談で言っていない”ことだけは分かる。
「……わ、分かりました……」
観念したみたいに小さく頷く。
直哉は「最初からそうしとけばええのに」と鼻で笑った。
蘆屋は恐る恐る立ち上がる。
けれど。
見えない状態で知らない場所を歩く不安が、一気に押し寄せた。
どこへ連れていかれるのかも分からない。
そんな蘆屋を見て、直哉が小さく舌打ちする。
直哉「……あー、めんど」
次の瞬間。
ふわっ、と身体が浮いた。
「えっ」
気づいた時には、横抱きに抱え上げられていた。
「……え? あ、えぇ!?!?」
完全に動揺する蘆屋。
直哉はそんな反応も気にせず、軽々と抱えたまま歩き出す。
直哉「見えてないやつ案内すんの面倒やから」
「で、でも……!」
直哉「しばらく大人しくしとけ」
低い声が頭上から落ちる。
逃がす気なんて最初からないみたいな腕だった。
蘆屋は抵抗するタイミングも掴めず、ただ直哉の服を掴む。
その様子を見て、直哉が小さく笑う。
直哉「……ほんま素直やな、あんた」
冬の冷たい風の中。
そのまま直哉は蘆屋を抱えたまま、公園を後にした。