【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
男は舌打ちしながらも、直哉の雰囲気に押されたのか、
面倒そうに肩をすくめた。
「……チッ、なんだよ」
最後に蘆屋をちらりと見てから、そのまま去っていく。
足音が遠ざかる。
静かになった公園で。
蘆屋はまだ状況が掴めないまま、小さく息を呑んだ。
一方、直哉はそんな彼女を見下ろしながら、面倒そうに眉を寄せる。
直哉「……で、ここでなにしとるん」
冷たい声。
けれど、さっきの男に向けていたものよりは少しだけ棘が薄かった。
蘆屋は小さく息を整えてから、ぺこりと頭を下げる。
「……ありがとうございます」
直哉「は?」
「助けていただいて」
その素直な礼に、直哉は一瞬だけ目を細めた。
直哉「……別に助けたわけちゃう」
吐き捨てるみたいに言う。
けれど、その場を去ろうとはしなかった。
少し迷ってから、小さく口を開く。
「実は……」
指先が、巻かれた包帯へ触れる。
する、する、と白い布が解かれていく。
冬の空気の中、露わになったのは。
目元から頬へかけて浮かぶ、黒い呪印だった。
直哉の視線が僅かに変わる。
蘆屋は苦笑しながら続けた。
「色々あって……視力が、なくなっちゃって」
直哉「……」
「だから今、あんまり周りが見えてなくて……
さっきも、人との距離感が分からなくて、つい。」
その説明を聞き終えたあと。
直哉はしばらく無言だった。
やがて。
直哉「……ふーん」
興味なさそうに呟く。
そのまま、どこか考えるみたいに蘆屋を見下ろした。
そして。
直哉「……なら、好都合やな」
「……え?」
意味が分からず、きょとんとする。
次の瞬間。
ぐっ、と腰を引き寄せられた。
「っ……!?」
突然縮まる距離。
直哉の腕が逃がさないみたいに腰へ回る。
低い体温。
近すぎる吐息。
蘆屋が息を呑んだ、その耳元で。
直哉が低く囁く。
直哉「この間、忘れたわけやないよな?」
重い声。
圧をかけるみたいな視線が落ちてくる。
直哉「……続き」
逃げ場を塞ぐみたいに、さらに腰を引き寄せて。
直哉「しよか?」