【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
~ ×禪院直哉 ~
乙骨が去ってから、しばらく。
静かな公園の空気を感じながら、ベンチへ座っていた。
遠くで子供の笑う声が聞こえる。
風は冷たいけれど、不思議と嫌じゃない。
「……」
ふと。
なんとなく立ち上がってみる。
じっと座っていたせいで、少し身体を動かしたくなったのだ。
その瞬間。
近くに“誰かいる”気配を感じた。
呪力の輪郭。
けれど、相手がこちらを見ているのか、それとも全然違う方向を向いているのかまでは分からない。
少し迷ってから、もう一度ベンチへ座り直そうとした。
その時。
「お姉さん、一人?」
突然、男の声が近くで響いた。
「え……?」
戸惑ったように顔を上げる。
男は距離感も近いまま、興味深そうに眺めていた。
「その包帯、お姉さんの趣味?」
そう言いながら、無遠慮に目元へ手を伸ばしてくる。
「っ……!」
反射的に、その手を払った。
ぱし、と乾いた音。
男が一瞬驚いたように目を瞬かせる。
蘆屋はすぐに我に返った。
「あ……ご、ごめんなさい」
慌てて謝りながら距離を取ろうとする。
けれど。
ベンチの端へ手を滑らせた。
「あっ——」
身体がぐらりと傾く。
その瞬間。
「危ないじゃーん」
軽い声と同時に、腰を引き寄せられた。
「っ……」
男の腕の中へ倒れ込む形になる。
距離が近い。
知らない男の香水の匂いに、
小さく身体を強張らせた。
その時。
直哉「……そんなきしょいところで、あんたら何してんの」
冷え切った声が、公園の空気を裂いた。
男が振り返る。
そこには。
コートのポケットへ手を突っ込んだまま立つ、禪院直哉の姿があった。
不機嫌そうな目。
鋭い視線。
直哉は、女の目に巻かれた包帯を見て、一瞬だけ目を細める。
それから。
直哉「あんたかい……」
小さく呟いた。
どこか呆れたような声音。
男は露骨に嫌そうな顔をする。
「あぁ? なんだお前」
すると直哉は、男を一瞥しただけで淡々と言った。
直哉「ちょっと、その女に用あんねんけど」
静かな声。