【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第8章 春夏秋「冬-2」
その瞬間。
ぐい、と腕を引かれた。
「……っ」
次の瞬間には、唇が塞がれていた。
突然のキス。
逃げる隙もないまま、深く押し込まれる。
「……ん、っ……」
息が詰まる。
乱暴なのに、離してくれない。
見えない暗闇の中で、何が起きているのか理解するより先に、熱だけが身体を支配していく。
苦しくなって、小さく肩を揺らした頃。
ようやく五条が唇を離した。
浅く乱れた呼吸の向こうで。
五条「……うるさい」
低い声が落ちてくる。
怒っているような。
苦しそうな。
そんな声だった。
蘆屋は乱れた呼吸を整えながら、ゆっくりと唇を開く。
「……私は」
小さな声。
「夏油さんと、ただ話がしてみたいだけなんです」
その言葉に。
五条はしばらく何も言わなかった。
やがて、小さく息を吐く。
五条「……ごめん」
こんなことして」
さっきまでの軽薄さは、もうどこにもない。
ただ、疲れたみたいな声だけが残っていた。
五条「でも」
そこで一度言葉を切る。
それから。
静かに言った。
「君は、何も知らなくていい」
蘆屋の肩が、わずかに揺れる。
五条「頼むから」
その声は、ただ、大切なものを失うことを恐れている人の声だった。
五条「……傑のことは、忘れてくれ
・・・君まで行ってしまったら」
「・・・どこにも行きませんよ。」
五条「そっか。」
静かな声だった。
そのあと、五条は何も言わなかった。
ただ、そっと蘆屋の頭へ手を伸ばす。
包帯越しに触れる指先は驚くほど優しくて、
壊れ物を扱うみたいにゆっくりと髪を撫でた。
静かに。
確かめるように。
やがて五条は小さく息を吐いて、
そのまま視線を窓の外へ向ける。
12月中旬。
雪はまだ降っていない。
けれど、窓の向こうに並ぶ木々はすっかり色を失っていて、
冬の冷たい空気に耐えるみたいに静かに枝を揺らしていた。
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