【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
夏油「……しかし、時間があまりないようだ。」
次の瞬間。
夏油が、すっと蘆屋の目の前へ立つ。
息を呑むより早く。
細く長い指先が、そっと額へ触れた。
「っ……!」
冷たい。
夏油は優しく目元を撫で下ろすように指を滑らせる。
まるで慈しむみたいな手つきだった。
けれど次の瞬間。
じわり、と。
蘆屋の目元に黒い紋様が浮かび上がる。
呪印のような、不気味な模様。
伏黒の顔色が変わった。
伏黒「……っ、おい!!」
伏黒が即座に蘆屋を引き寄せる。
伏黒「何をした!!」
夏油は楽しそうに目を細めた。
夏油「あはは。」
その身体が、黒い煙へ溶けていく。
夏油「君は自ら私に会いに来るよ。」
消えかけながら、夏油はふと思い出したみたいに笑った。
夏油「悟によろしく伝えておいてよ。」
その言葉を最後に。
夏油の姿は煙の中へ消えた。
同時に。
――ゴォォォンッ!!!
空間全体が激しく揺れる。
白い世界に亀裂が走った。
伏黒が蘆屋を抱きかかえて退避する。
伏黒「・・・っ!」
床が砕ける。
空間が崩壊していく。
そして。
遠くから、聞き慣れた声が響いた。
虎杖『伏黒ォォォ!!!』
虎杖の声。
結界が壊されたのだ。
伏黒がはっと顔を上げる。
崩れ落ちる白い世界の中。
低く言った。
伏黒「帰りましょう・・・。」
次の瞬間。
真っ白な空間が、完全に砕け散った。
白い世界の先。
冷たい床の感触と、耳をつく崩壊音。
砂煙。
割れた瓦礫。
そして、現実の空気。
結界は完全に消えていた。
遠くで虎杖と釘崎の声がする。
伏黒はすぐに蘆屋へ視線を戻した。
伏黒「……大丈夫ですか。」
返事はない。
蘆屋は静かに、ゆっくり目を開ける。
その瞬間。
伏黒の表情が止まった。
伏黒「……っ。」
瞳から、光が消えていた。
――見えていない?
さらに、目元には黒い呪印のような紋様が薄く浮かんでいる。
伏黒が眉を寄せる。
脳裏に、夏油の最後の言葉が蘇った。
『――君は、自ら私に会いに来るよ。』
その言葉に、妙な違和感が残る。