【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
そして、静かに口を開く。
伏黒「……それよりも――」
その瞬間だった。
――ガチャン。
背後で、重い鍵が外れる音が響く。
二人が同時に振り返る。
さっきまで閉ざされていた扉が、
ゆっくりとひとりでに開いていく。
部屋の中に漂っていた重苦しい空気が、
少しずつ流れ出していくようだった。
蘆屋はしばらく呆然とその扉を見つめていたが、
やがて小さく息を吐く。
「……開いた。」
伏黒も警戒を解かないまま扉へ視線を向ける。
さっきまで映し出されていた映像は、もうどこにもない。
静まり返った真っ暗な空間だけが残されていた。
伏黒はゆっくり蘆屋の方を見る。
けれど結局、さっき言いかけた言葉の続きを口にはしなかった。
代わりに、小さく息を吐いて、
伏黒「……なんだったんですか、この部屋。」
と呟く。
蘆屋は少しだけ困ったように笑う。
「さぁ……。」
その声には、疲労が滲んでいた。
二人は並んで部屋を後にする。
伏黒が先に廊下へ出て、蘆屋もその背を追いかける。
そして扉が閉まる寸前。
薄暗い床へ、ひらり、と一枚のカードが落ちた。
そこに書かれていた文字は――
『真実』
揺れる黒い文字だけが、静かに残されていた。
・
・
・
長い廊下の終点。
最後の扉。
禍々しい気配も、不気味な音もない。
「……これで最後、ですね。」
伏黒の低い声が響く。
ここを抜ければ終わる。
伏黒が扉を開く。
白い空間の中央。
水面がゆらゆらと揺れている。
そこへ浮かぶカード。
『選択』
主人公はその文字を見つめたまま、小さく息を呑んだ。
伏黒は静かに周囲を見渡す。
伏黒「選択・・・。最後の部屋、って感じですね。」
その時だった。
――コツ。
静かな足音が響く。
蘆屋と伏黒が同時に顔を上げる。
白い空間の奥。
滲むような黒の中から、一人の男がゆっくり姿を現した。
長い黒髪。
袈裟姿。
細められた目。
穏やかな笑み。
蘆屋の呼吸が止まる。
蘆屋(……誰。)
伏黒は即座に蘆屋の前へ半歩出た。
男はそんな伏黒を見ても気にした様子はなく、
ゆっくり蘆屋へ視線を向ける。
まるで観察するみたいに。
そして、ふっと目を細めた。