【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
~ 7部屋目 ~
しばらくして、2人は7つ目の部屋に向かう。
長い廊下は相変わらず静かだった。
暖炉の部屋を出てから、ほとんど会話はない。
けれど、不思議と居心地の悪さはなかった。
蘆屋は隣を歩く伏黒をちらりと見る。
伏黒は前を向いたまま歩いていたが、
不意に視線だけを寄越した。
伏黒「……なんですか。」
「いや。
こんなに一緒にいたのに、まだ私が知らない伏黒くんをしれてびっくりしてるとうか。」
伏黒「そんなの、これからいくらでも知ればいいですよ。」
ぴたり、と伏黒の足が止まる。
――ギィ……
重い音を立てて、七つ目の扉がひとりでに開いた。
部屋の中は暗かった。
いや、“暗い”というより、黒い。
空気そのものが濁っているような重さ。
踏み込んだ瞬間、ぞわりと肌が粟立った。
「……っ。」
思わず息を呑む。
伏黒も警戒するように周囲を見渡した。
次の瞬間だった。
ぶわっ――
部屋いっぱいに映像が広がる。
壁も、床も、天井も関係なく、黒い水面のような空間へ記憶が投影されていく。
知らない女の泣き声。
誰かの怒鳴り声。
赤。
燃える匂い。
幼い主人公の視界。
『どうして』
『なんで』
『助けて』
耳鳴りのように無数の声が響く。
深い記憶が昨日のことのように巡りだす。
「やめて……」
けれど映像は止まらない。
御三家。
忌み子。
生き残り。
保護。
選別。
助かったのではなく、
“都合よく残された”。
押し込めていた記憶が、容赦なく空間へ吐き出されていく。
伏黒は言葉を失っていた。
蘆屋は映像に目を背けることなく正面を見続けた。
違和感に気づいたからだ。
流れる映像が見下ろしている。
破壊している。
「――これは。」
主人公の声が震える。
「……視点、が。」
明らかに、虐殺を行った者の視点だった。
映像の端に、黒く歪んだ巨大な影が映る。
人々が悲鳴を上げて逃げ惑う。
『呪霊だ!!』
『祟りだ!!』
『逃げろ!!』
その瞬間。
主人公の脳裏に、外でみた呪霊の姿が重なる。
「……あ。」
ぽつりと呟く。