【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
床を伝う。
迷路の奥へ、
どこまでも広がっていく。
「……もっと。」
目を閉じる。
呪力感知。
反応を探す。
けれど。
返ってくるのは、
無機質な空間だけ。
「……誰も、いない……。」
小さく息が震える。
まだ足りない。
もっと奥まで。
もっと遠くまで。
「……っ、もう少し……。」
再び、
呪力を一気に流し込む。
ぶわっ――!!
空気が揺れた。
蘆屋の呪力が、水のように迷路中へ広がっていく。
廊下。
分岐。
階段。
見えない道の先まで。
延々と。
延々と。
数十分。
集中し続けた末。
ふいに。
ぴく、と。
何かが引っかかった。
「……!」
微かな感覚。
遠い。
けれど、
確かに“何か”がいる。
人?
呪霊?
分からない。
でも。
今は、
それを信じるしかなかった。
「……。」
蘆屋はゆっくり立ち上がる。
涙で滲んだ目のまま。
それでも、迷いなく。
感知した方向へ、ゆっくり歩きだした。
――その頃。
伏黒は、迷路の中央付近と思われる通路に立っていた。
伏黒「……。」
静かに周囲を見渡す。
無機質な壁。
入り組んだ通路。
普通に歩いていては、時間が足りない。
伏黒は小さく息を吐くと、
指先で印を結んだ。
伏黒「脱兎。」
ぽんっ、と。
白い煙と共に、
大量の脱兎が通路へ飛び出す。
一羽。
二羽。
十羽。
数え切れないほどの兎たちが、
一斉に迷路へ散っていった。
ぱたぱた、と軽い足音。
伏黒は目を閉じる。
式神を通して、道を把握する。
行き止まり。
分岐。
階段。
閉鎖空間。
頭の中へ、迷路の情報がどんどん流れ込んでいく。
伏黒「……広いな。」
予想以上だった。
単純な迷路じゃない。
だが。
脱兎の数なら、
強引にマッピングできる。
伏黒は冷静に分析を続けた。
その時。
ぴく、と眉が動く。
遠くから、
柔らかな呪力が広がってくるのを感じた。
伏黒「……先生。」
蘆屋の呪力だった。
通路中へ広がっていく。
不安と焦りが滲むような、繊細な呪力。
伏黒は静かに目を伏せる。