【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
方向感覚がおかしい。
同じ場所へ戻ってきている気がした。
「……。」
また、
じわじわと体温が下がっていく。
寒い。
静かで。
怖い。
「……しっかりしろ、私……。」
震える息を吐きながら、
蘆屋は再び歩き始めた。
――その頃。
伏黒は、別の場所にいた。
広がる灰色の迷路。
静寂。
伏黒「……。」
表情は冷静だった。
周囲を確認し、壁へそっと触れる。
材質。
温度。
一つずつ、冷静に分析していく。
けれど。
頭の奥では、
別の感情が強く鳴っていた。
――早く探さないと。
伏黒は小さく舌打ちした。
伏黒「……チッ。」
そして、無機質な壁を見渡しながら、
慎重に歩き始めた。
・
・
・
・
どれくらい歩いただろう。
時間の感覚が、
少しずつ曖昧になっていく。
同じ壁。
同じ床。
同じ静寂。
時計を見る。
開始から、すでに一時間以上が経過していた。
「……っ。」
蘆屋は、ゆっくり足を止める。
呼吸が浅い。
極限の緊張状態が続き、
頭の中がぐるぐるしていた。
どこへ向かっているのか。
本当に進んでいるのか。
そもそも、伏黒は無事なのか。
考えれば考えるほど、不安が膨らんでいく。
「……私。」
ぽつり、と声が漏れる。
「全然、だめだ……。」
教師なのに。
補助監督なのに。
生徒を守らなきゃいけない立場なのに。
怖くて。
寒くて。
一人なのが、
こんなにも心細い。
じわ、と視界が滲む。
「……っ。」
だめ。
泣いてる場合じゃない。
「だめだめ……。」
深呼吸。
震える手を、
ぎゅっと握る。
「しっかりしろ……私……。」
やみくもに歩いても、意味が無い。
なら。
探すしかない。
蘆屋はゆっくりしゃがみ込み、
床へ手をついた。
「……。」
次の瞬間。
ぶわぁっ――。
呪力が溢れ出す。
淡く。
柔らかく。
けれど膨大な量の呪力が、
水みたいに廊下へ流れ始めた。