【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
全部。
分かってしまった。
「……それは。」
小さく眉が寄る。
「……ずるい。」
伏黒は何も言わなかった。
ただ静かに、
蘆屋を見つめている。
裸電球が、
微かに揺れる。
静かな部屋。
聞こえるのは、
互いの呼吸だけだった。
蘆屋はしばらく伏黒を見上げていたが、
やがて観念したように小さく息を吐く。
そして。
ゆっくりと、目を閉じた――。
伏黒は、しばらく見つめていた。
本当にいいのか確認するみたいに。
そして。
そっと。
触れるだけみたいな、
優しいキスが落ちてくる。
「……っ。」
息が止まる。
伏黒の手が、
逃げないように頬へ添えられる。
強引じゃない。
蘆屋の心臓は、
自分でも分かるくらいうるさかった。
どくどく、と。
耳の奥まで響く。
伏黒の吐息が近い。
温度が近い。
触れられるたび、
頭がぼんやりしていく。
「……ん。」
小さく漏れた吐息。
蘆屋は無意識に、唇を少し開こうとして――
その瞬間。
伏黒が、ふっと距離を取った。
「……え。」
同時に。
ガチャン。
部屋の鍵が外れる音。
静かな解錠音だけが、
やけに現実的に響く。
伏黒は一度だけ目を閉じ、
小さく息を吐いた。
そして、
何事も無かったみたいに背を向ける。
伏黒「……行きますよ。」
「……。」
蘆屋はしばらく動けなかった。
顔が熱い。
絶対赤い。
というか、
自分から口を開こうとしたことを思い出して、
余計に死にたくなる。
(私って本当に・・・・最悪だ・・・)
その時。
数歩先を歩いていた伏黒が、
ふいに立ち止まる。
そして。
ちら、とだけ振り返った。
伏黒「……。」
ほんの少し沈黙してから。
伏黒「変な期待させるの、やめてください。」
「――っ!!?」
伏黒は視線を逸らしたまま、
低く続ける。
伏黒「……こっちも必死なんです。」
「…………。」
蘆屋はその場で顔を覆った。