【呪術廻戦】年下のきみが可愛くて。/みんな×主(先生)
第7章 春夏秋「冬-1」
伏黒の指先が、ようやく冷たい金属を掴む。
カチャ、と。
小さな音。
伏黒「……取れた。」
「ほ、ほんと?」
伏黒「あぁ。」
伏黒は体勢を崩さないよう注意しながら、
鍵を蘆屋へ渡した。
細長い、古びた銀色の鍵。
「……で、鍵穴は?」
伏黒「……。」
沈黙。
狭い箱の中を見回そうにも、
暗すぎて何も見えない。
蘆屋は少し考えてから、
ふと呟いた。
「……待って。」
伏黒「?」
「私が下ってことは……。」
狭い空間。
押し倒されるような体勢。
つまり。
「高確率で、伏黒くんの背中側にある気がする。」
伏黒「……。」
「ご、ごめん、ちょっと失礼するね。」
蘆屋は鍵を握ったまま、身を起こす。
当然、
スペースなんてほとんど無い。
結果的に。
伏黒へ抱きつくみたいな形で、
ぴったり身体を寄せることになった。
伏黒「……っ。」
「う、動かないでね。」
伏黒「……はい。」
妙に素直だった。
蘆屋は伏黒の肩越しに腕を伸ばし、
暗闇の中、
手探りで壁を探していく。
近い。
とにかく近い。
互いの体温が、制服越しにじわりと伝わる。
「ん……。」
暗闇の中。
指先が壁をなぞるたび、互いの身体が擦れる。
狭い空間。
近すぎる距離。
蘆屋の小さな吐息が耳元へ落ちた瞬間――
ドンッ。
突然、
身体が押し返される。
「んっ……!」
蘆屋の背中が床へ当たった。
狭い箱の中。
逃げ場なんて無い。
伏黒が片腕を床へつき、
そのまま蘆屋を閉じ込めるような体勢になる。
「ふ、伏黒くん……?」
伏黒「……。」
返事が無い。
「ふ、伏黒くん?」
伏黒「……すみません。続けてください。」
低い声だった。
「う、うん、、」
狭い空間の中、
二人の呼吸だけが静かに重なる。
そして――
「……あ、あった……!」
指先が鍵穴へ触れた瞬間、空気が一気に現実へ戻った。
ドアの方を向くとすでに扉が開いていいた。
「助かった・・・」