第2章 2人の日常
振り向いた宗四郎様と目が合って、姿を現していた赤紫は少し揺れていた。
伸びてきた手は私の後頭部を優しく引き寄せて、柔らかく唇が重なる。
「え?あ、あの……」
「ふっ。嫌やった?」
ふるふると首を振れば、今度は確かにキスをした。
少し離れて顔を元に戻した宗四郎様は、そのまま頬を擦り合わせた。
「ごめんな。もうせぇへんから」
「や……はい」
"嫌です"なんて言ってしまえば、宗四郎様を困らせてしまう。
宗四郎様は何事もなかったかのように私を離し、準備を始めた。
着替えてブーツを履き、「いってきます」と私を抱き締めて玄関を出ていく。
朝は宗四郎様から触れて、帰りは私から触れる。
いつの間にかルーティンになっていた。
本当にもう、しないのかな……。
愛しい人の唇の感触と熱はまだ、私の唇に残っている。