第7章 好きの謝罪
仕事を終わらせ、買い物をしてから急いで帰る。
早く、宗四郎様に会いたい。
だが、扉を開けて玄関に入っても、宗四郎様は来てくれなかった。
いや、いつも出迎えてるのは私の勝手だし、宗四郎様がそうする必要はない。
もしかしたら、お風呂だったり寝ていたり、何か手が離せないことをしてるのかもしれない。
リビングの扉を開けると、ソファの背凭れの奥から覗いた手が、ちょんちょんと動いた。
手招きをしている。
すぐにソファの前に回り、床に膝をついた。
「どうしました?具合でも悪いんですか?」
ソファに寝そべっている宗四郎様を覗き込む。
目が、合わない。
私も宗四郎様も、お互い見ているはずなのに、合っている気がしない。
「言い訳はいらんから、はっきり答えて。……嘘ついた?ほんまはまだ婚約者なんやろ?」
「え……?どうして……」
婚約は解消された。
そうはっきり母から聞いた。
どうして宗四郎様は、今になってそんなことを?
宗四郎様は溜め息をつき、前髪を掻き上げながら頭を抱えた。
その腕に触れようとしたが、払い除けられた。
「……こ、婚約者じゃないです……解消されたって……」
「もうええ。付き合うん、なかったことにするで」
え、どうして信じてくれないの?
宗四郎様の彼女じゃなくなったら、今までしてくれたこともなくなるの?
まだ、好きになってもらえてないのに……。
「宗四郎様!なんでそんなこと言うんですか……?私、本当に宗四郎様が好きで……決められたレールを進んだって、愛してもらえないから私……宗四郎様……」
「嘘つきは嫌いやねん。元々、婚約者だってことも隠しとったやろ。僕が欲しいんやったら、ハナから嘘なんてつくなや」
初めて聞いた宗四郎様の冷たい声は、芯から冷えて、全身が震えた。
婚約者っていう肩書きがあれば、ずっと一緒にいられると思ったから……でも、それも捨てたのに、どうして……。
私を見て……。