第7章 好きの謝罪
紫音の背中に、僕の名前を書いて閉じ込めておきたい。
頬でも、どこでもいい。
昔からずっと一緒にいる女の子。
昔から僕だけのもの。
独占欲だけがひとりで駆け抜けていって、気持ちを与えないまま、傍に置いている。
僕だけを見ているええ子――ずっとそうやと思っとった。
「婚約は解消してへんで?」
新人たちの初任務も終え、安心しきっとった。
そんな時の、父親からの電話。
どういうことや?
紫音は婚約はなくなったと言っていた。
亜白隊長のおつかい、防災館の手伝いに……発生した怪獣を討伐し、報告まで終わらせて帰ってきた。
今日は非番だ。
紫音は基地で、四ノ宮の専用武器の開発に勤しんでいる。
「紫音、なくなった言うてはりましたけど……」
「なくなった言えば、お前に見てもらえる思ったんやないか?紫音は昔からお前にご執心やったからなぁ……」
「は?……いや、紫音がそないなこと……」
紫音に直接聞かな……ほんまに本当のこと言うんか?
少しずつ不信感が募っていく。
通話が切れたスマホをテーブルに置く。
ソファに沈み込み、天井を睨んだ。
胸の奥に、小さな棘が刺さったまま抜けない。