第5章 解れる境界線
急いでキッチンに向かい、途中だった調理を再開した。
ほとんど終わりかけなので、すぐに終わり、テーブルに運ぶ。
ご飯を食べ終わると、宗四郎様がどうしても一緒にお風呂に入ろうと言うので、落ち着かない心臓のまま一緒にに入る。
「もう全部見たからええやろ」と言う宗四郎様を無視し、出来るだけ腕で隠す。
「紫音はなぁ……僕のタイプ、ど真ん中やねんなぁ。あ、見た目の話な?」
見た目……それなら私は、いつまで経っても好きになってもらえないってこと?
お湯に浸かりながら、後ろから抱き締められているのに、突き放された気がした。
一瞬、浴室が静寂に包まれる。
空気に気づいたのか、宗四郎様は抱き締める力を強めた。
「言い方悪かったな。紫音のことは全部好きやで?性格も……あかんな。そんな風に見れん思っとるのに、紫音に女を求めとる」
宗四郎様は何を言いたいのだろう。
「……好きなんやろな。一緒にいたい思う時点で……誰にも取られたない思うとる時点で、そういうことやろ?」
気持ちを自覚していないくせに、自分のことをそう分析する宗四郎様。
「なら……私はまだ、失恋……してないんですか?」
「ん。結婚とかはまだよう考えられんけど、僕の彼女なる?」
迷うことなんてせず、反射的に頷く。
ただの幼馴染から、私は好きな人の彼女になった。
いつかちゃんと、"好き"と言われたい。
それでも嬉しくて……頬を流れた雫がお湯に溶けた。