• テキストサイズ

不変の隣【保科宗四郎】

第2章 2人の日常


水音が響く磨りガラスの向こうを見つめる。
届くはずもないのに、ガラスに触れ、開けてしまいたくなる。

お風呂に入っている宗四郎様の着替えやタオルを置いて、ずっとここにいるのが気づかれないように慌てて逃げた。

あの人はきっと、私がそこにいることなんて、初めから気づいている。

「紫音?おる?」

脱衣所から出ようとすると、浴室から声が聞こえて足を止めた。

返事をしながら近付くと、「来て」とはっきり聞こえた。
――どこに?

「紫音〜?聞いとる?はよ来てー」

「……ど、どこにですか?」

戸惑いながら磨りガラスに手をついて聞く。
すると、「こっち」と答えられた。
――どっち?

怒られたら、怒られた時だ。そう思い、目を瞑ったまま扉を開けた。
すると、笑い声が聞こえてきて、間違えただろうかと不安になる。

「服、濡れてまうで?あと、目ぇ開けても大丈夫や。見えんて」

そうだ、今日の入浴剤は乳白色……恐る恐る目を開けると、ニコニコと微笑む宗四郎様が目に入って、クラクラした。
宗四郎様が、濡れてる……。

刺激が強すぎて、目を逸らしながらどうしたのか聞くと、洗顔フォームが切れていたらしく、慌てて交換しておいた。

「ごめんなさい、気づいていなくて……」

「ん〜?ええで。今日はもう終わっとるし」

何故いま、私を呼んだのだろう。
遊ばれているのだろうか……あんなに笑っていたし。

私にとって彼との日常は、刺激が強すぎる。

/ 75ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp