第3章 崩壊の前触れ
たくさんのモニターがあるPCと向き合い、夕方に家事をする。
宗四郎様からきたメッセージは、"遅くなる"。
それだけだった。
夕食をどうするか聞いても返事はなかった。
一応宗四郎様の分の夕食を作っておいても、帰ってきたのは日付けが変わる頃だった。
「……おかえりなさい」
抱きつきはせずに、ブーツのファスナーを下げた。
わかっている、忙しいのだと。
今は試験の準備で、いつもより忙しいのも知っている。
ただ……なんとなく、頭によぎる想像が消えてほしかっただけ。
朝はあんなことを言っていたくせに……。
拗ねているだけだ。相手にされていないのは、痛いほどわかったから。
いつもは玄関の扉を開けてすぐに目を合わせてくれるのに、今はそれがなかった。
それだけのこと。それだけのことなのに。
リビングに行く宗四郎様についていく。
いつものルーティンが崩れていく。
「紫音、どしたん?」
ソファの背凭れに脱いだ隊服を掛けている。
「……何がですか?それより、ご飯はどうします?食べました?」
「食べた」
作っておいた宗四郎様のご飯を見つからないように捨てようとした。
だが、食材にはなんの罪もない。明日食べよう。
お風呂を沸かしソファに座ると、膝に重みを感じる。
いつものように私の膝を枕にする彼。
スマホを弄ったままなので、魔が差して――スマホを奪った。
仕事用のものではない。