第2章 2人の日常
気まずい空気が漂う朝食。
「あ、あの……記憶から抹消してください……」
「無理。やや」
無理?!嫌?!
食べ終わったのか、箸を置いて頬杖をつく。
そのままこちらを見つめてきて、私の目線はご飯に固定された。
「まっ、忘れるんは無理やけど、気にせんことにするわ。……やから、また見せてな?」
「どうしてですか?」
「ええやん。減るもんやないし」
私の心臓が減ります。
それに、宗四郎様だってあんな反応をしていただろう。
そうだ、元はと言えば、宗四郎様のせいなんだ。
どうしてあんな痕をつけたのか気になって聞いてみる。
「わからん。なんとなく、いつの間にかつけとった。許して?」
つけたことには怒っていないし、むしろ嬉しい。
だが、あんなところだとは……もしかすると、見られているかもしれない。
いや、既にもう、自分で見せた。
「もしかして、夜、見た思うとる?安心しぃ、見とらん。ピンクいのはチラッと見えてもうたけど……」
反応した方が負けだ。
「そうですか」と可愛げなく返して、箸を進める。
――可愛い反応って、どうしたらいいの?
宗四郎様は、どんな反応をしたら可愛いと思ってくれる?
「可愛ええな」
宗四郎様はそう呟いて、食器を持ち、立ち上がった。
――どこがですか?