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まだここにいる【サンジ】

第2章 出会い


半年前

港はいつも騒がしかった。

潮の匂い、人の声、荷を運ぶ足音。

落ち着かないのに、どこか生き生きしていた。

海の向こうには、大きな船が停まっている。

この港には似合わない。



みかは、その船を一瞬だけ見てから視線を戻した。

両手には荷物。

少しバランスを崩しながら歩いていた。


その瞬間。



「おっと」



軽い声と同時に、腰に手が回る。

倒れかけた体を、自然に引き寄せて支える。

迷いのない動きだった。


距離が一気に近くなる。


「危ねぇな、レディ」

耳のすぐ近くで声が落ちる。

軽いのに、妙に耳に残る。



みかは一瞬固まって、それから慌てて体を離した。



「す、すみません……」



顔を上げると、金髪の男がいる。

場慣れしたような雰囲気。

でも目だけは、やけにまっすぐだった。



「そんな抱え方してたら、危ねぇって」

さらっと言って、もう手は離れている。

でも距離はなぜか近いままだった。



みかは荷物を持ち直す。



「……ありがとうございます」


その言葉に、サンジの口元が少しだけ緩む。



「どういたしまして、プリンセス」



軽く言う。

冗談みたいで、でも軽すぎない温度で。



みかは一瞬だけ目を瞬かせる。

でも、否定はしない。

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