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まだここにいる【ワンピース サンジ】

第15章 冬島


店の扉が開く。

外の冷気が一瞬だけ流れ込んだ。

ローが入ってくる。

ローは店内を軽く見渡してから、サンジの近くへ歩いた。

喧騒の中で足を止める。


サンジが視線だけ上げる。

「……終わったのか」

ローは短く頷く。

「身体は問題ねぇ」



「……黒足屋、それとは別件だ」

サンジの目が細くなる。

「別?」



ローはみかを見る。

すぐに視線を外す。

サンジの横に立ち、声を落とす。



「こいつを最初に見た時から、なんか引っかかる」

サンジの指が止まる。

ローは続ける。

「たまに、ひと呼吸だけ変だ」

「記憶とか、そういうはっきりした話じゃねぇ」



サンジは煙草をくわえたまま、ゆっくり煙を吐く。

「それで?」



ローは少しだけ黙る。

視線だけサンジに向けたまま言う。

「……なんかおかしな節、あっただろ」


サンジの動きが止まる。


浮かぶのは、雨宿りしたあの軒下。


あのキス。


翌日のこと。
「……昨日のこと、ちゃんと覚えてなくて」



あの時から、少しだけ引っかかっていた。

でも、それ以上にはならなかった。



サンジは煙を吐く。

「……気のせぇだろ」


ローは鼻で笑う。

「気のせいで済む顔じゃねぇな」


サンジは一度だけみかを見る。

いつも通り笑っている。

何も知らない顔。


すぐに視線を戻す。



「それだけか」



ローは肩をすくめる。

「それだけだ」

少しだけ間。

「ただ、最初から妙な引っかかりはある」


そのまま入口へ向かう。

振り返らない。

「ちゃんと見とけ」


扉が閉まる。

喧騒が戻る。

ルフィの声。

「肉!!」

ウソップの騒ぎ。

チョッパーの笑い声。


サンジはしばらく動かない。

サンジは煙草を灰皿に押し付ける。

もう一度だけみかを見る。

薄く、引っかかりだけが残っている。


「……めんどくせぇな」

小さく吐いて、皿を押し出す。

「食え」
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