第15章 冬島
ローが静かにベッドへ近づく。
眠ったままの女の手首に触れた。
数秒。
脈を確かめる。
「身体は生きてる」
低い声
「だが、お前自身が戻れてねぇ」
女が小さく目を見開く。
「……戻る?」
ローは振り返る。
「能力の中に閉じこもってるんだ」
「孤独を広げ続けて、自分でも抜け出せなくなった」
部屋の空気が揺れる。
壁の人影たちがざわめいた。
「ひとり」
「こわい」
「いや」
女が苦しそうに頭を押さえる。
「だって……」
「誰もいなくなるの、怖かった」
その声は、今までで一番子どもっぽかった。
静かに
みかが一歩前へ出る。
サンジがすぐ腕を掴む。
「おい」
でもみかは女を見たまま、小さく言う。
「怖いのは、分かる」
女の目が揺れる。
「でも」
みかが続ける。
「誰かといた時間まで、消えないよ」
部屋が静まり返る。
「一人になるのが怖くても」
「一緒にいたことは、なくならない」
その瞬間。
女の瞳から、ぽろりと涙が落ちた。
同時に。
壁の人影たちが、雪みたいに崩れ始める。