第15章 冬島
「やっと来てくれた」
白い服の女が、みかへ向かって手を伸ばす。
みかの頭に、一気に感情が流れ込んだ。
寒い。
暗い。
ひとり。
誰も来ない。
息が詰まる。
膝が崩れそうになる。
サンジがすぐ肩を支えた。
「おい!」
ローが鋭く言う。
「目を逸らせ!」
でも女は笑った。
寂しそうに。
「この子、分かってくれる」
周囲の景色がさらに歪む。
長い廊下。
閉ざされた扉。
雪の町が、少しずつ飲み込まれていく。
ウソップが半泣きで叫ぶ。
「なんなんだよここぉ!!」
チョッパーもしがみついたまま震える。
「戻れなくなるぞぉ……!」
ローが刀を構える。
「こいつは認識ごと引き込む」
低い声
「完全に飲まれたら、自分が誰かも分からなくなる」
ルフィが女を見る。
「おまえ、なんでこんなことしてんだ?」
女の動きが止まる。
数秒の沈黙。
やがて、小さな声が落ちた。
「忘れられたくないの」
廊下の奥で、鐘が鳴る。
ゴォン――
壁一面に、無数の人影が浮かび上がった。