第2章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる II**
が無意識に僕の方へとすり寄ってきた。
僕の胸に額を押し当てて、荒い吐息をこぼす。
「……せん、せ……っ、なんか、へん……っ」
自分の身体に何が起きているのか、全くわかっていない。
こういう風に『なる』こと自体が、初めてなんだ。
それを今、僕が教えている。
恵もまだ知らない。
そう思ったら、自然と口角が上がっていた。
さらに指に愛液を絡ませながら、なぞる速度を上げていく。
「ひぁっ……ぁ、ああっ……!」
「いいよ。もっと変になって」
宥めるふりをして。
快感から逃げようとする腰を引き寄せ、膨らんだ先端を指の腹でくるくると円を描くようになぞった。
ぎゅっと丸まっていく、の足の指。
荒くなっていく呼吸。
(あと少しか……)
は顔を真っ赤にして、初めての感覚に戸惑っている。
何が起きているのかわからないのに、もう僕の指から意識を逸らせない。
その顔を見た瞬間、さっき聞き損ねた言葉が頭をよぎった。
『ずっと、先生のことが――』
その先を聞きたい。
たとえ今から言わせるそれが、僕へのものじゃなくても。
今だけの、意味のない言葉でも。
それでも、に言ってほしかった。
「せんせ……それ、だめぇ……っ」
の身体が強張った直前、僕はわざと指の動きを止めた。
「っ……!? ぁ……、え……」
涙でぐしゃぐしゃになった顔が僕を見上げた。
なんで止めたの、と言いたげに。
もっと、と言えないまま、縋るみたいな目で。
(……ほら、これなら言えるでしょ)
僕は止めていた指をほんの少しだけ動かした。
「……ぁ、んっ……」
「。これ、好き?」
「……っ」
「言ってくれたら、続きしてあげる」
こんな方法で、欲しい言葉を引きずり出そうとしている。
けれど、こうまでしてでも欲しかった。
「ほら。僕の指、好き?」
はすぐには頷かなかった。
唇を噛んで、しばらく目を迷わせていたが。
耐えきれなくなったのか、こくんとが頷いた。
「……っ、す、き……」
注意してなければ聞き逃しそうなほどの小さな声。
でも、僕にははっきりと聞こえた。