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【呪術廻戦/短編集R18】夜更けの花屋は恋を売る

第1章 【五条悟・伏黒恵】クロユリは君を欲しがる**


「は大丈夫だった? 恵に襲われたりしてない?」



それは、いつもの先生のからかいのはずだった。
なのに、どう答えればいいのかわからない。

「大丈夫です」と。
「先生、何言ってるんですか」と笑って返さなきゃいけないのに。

なのに、今はそれができない。



「あ、ぁの……っ」



伏黒くんに触れられていた所が、まだ熱を持っている気がして。
先生の冗談が、冗談に聞こえない。


私は何も言えないまま、浴衣の合わせを両手でぎゅっと握りしめた。


気まずい沈黙が落ちる。
その沈黙を破るように、頭上で小さく音がした。



チカッ……チカチカッ。

天井の蛍光灯が何度か瞬いて、パッと部屋中が明るくなる。



「お、電気ついたね」



先生がのんきな声を出して、懐中電灯のスイッチを切った。


急に明るくなった部屋に目が眩む。
伏黒くんがこっちを振り向いて、はっきりと目が合った。


さっきまで暗闇だったから、まだ平気だったのに。
こうして顔を見ると、さっきのことを思い出してしまう。

急に恥ずかしくなって、私は慌てて視線を落とした。


(伏黒くんと、あんなことやこんなことを――)


気まずさと、どうしても消しきれない甘い余韻。
二人の間にしかわからない、なんとも言えない空気が流れる。



「よいしょ、っと」



そんな私たちの空気を断ち切るように。
私と伏黒くんの布団の真ん中へ、上からどさりと布団が落とされた。

ぴったり並んでいた二組の布団が、無理やり引き離される。
先生は当然みたいな顔で、その間に自分の布団を敷いてしまった。


(え……っ?)


私と伏黒くんが言葉を失っている間に、先生は真ん中に仰向けで寝転がった。
伏黒くんと私しかいなかった空間が、一瞬にして先生に塗り潰されていく。


先生は黒いアイマスクを指にかけ、ゆっくりと下へとずらした。
露わになった、透き通るような青い瞳。
有無を言わせないその強い視線が、私と伏黒くんを射抜くように見据えた。










「今日、僕も一緒に泊まるから」
















𓂃 クロユリは君を欲しがる 𓂃

── to be continued.
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