第4章 【五条悟】勿忘草の悪魔**
「そ、それはそうですけどっ! お、お仕事は!?」
「次の仕事まで時間が少し空いたからね。あと、まずそれ止めたら?」
「っっっ!!!!」
抱きしめていたクッションを放り投げ、スマホに飛びつく。
画面を狂ったように連打し、なんとか動画を止めると、最後はソファのクッションの下にスマホを押し込んだ。
(みっ、みっ、みっ、見られたぁぁぁーーーーっ!!)
頭の中で、大音量の緊急警報が鳴り響いている。
えっちな動画見て、一人でえっちなことしていたと絶対に思われている!
いや、そうなんだけど!!
消えたい。
今すぐ消えたい。
私はそのままソファに突っ伏し、クッションの隙間に顔を埋めた。
できることなら、このまま布地の一部になって消えてしまいたい。
「私は……ソファになりたい」
「いや、なんで? 貝じゃなくて?」
私の悲壮な覚悟などおかまいなしに、五条さんは楽しそうに笑った。
「なんでって……! 契約者さんの留守中に、そ、その……お下劣なことをして、お部屋を汚しかけたからです……!」
「お下劣って……。それに、別に汚れてないでしょ」
五条さんの足音が近づいてきて、すぐ隣でソファがふすっと沈み込む。
恐る恐る、クッションから顔を少しだけ上げると、今日は目隠しではなく、黒いサングラスをかけた五条さんがこちらを見下ろしていた。
「昨日のキスじゃ足りなかった? 淫魔のちゃん」
「〜〜〜〜っ!!」
また心臓がドクンと高鳴る。
は、わ……っ!
その声で、名前呼ばないで!
「ち、ちちち、違います!!」
ぶんぶんと首を横に振ると、尻尾まで一緒に左右に激しく揺れて否定した。