第3章 致死量ラブアンドピース
「あとは、なんか申し訳ないのが勝ってますね」
「申し訳ない?なにが?」
「ほら、たまに持ち帰りの仕事してるじゃないですか」
「うん」
「そんな時に私だけごろごろしちゃってていいのかな、とかです」
「んなこと気にしてたの」
「そりゃしますよ」
相変わらず画面に釘付けな望月は、割とはっきりものを言うタイプだと思ってた。実際職場でも同僚たちと議論する時は、はきはき喋ってるのを何度か見かけたこともあるし、俺と飲んでる時だっていつもそうだった。
あからさまに語尾が尻すぼみになるほど、小さなことを気にするやつだったとは。
「望月さんよ」
「なんですか」
「ここは誰の家ですか」
「黒尾さん、」
「と?」
「……私、です」
「せーかい。家でリラックスするのは当然の権利でしょーが。金輪際へんな気遣いは禁止しまーす」
一緒に生活しだして約1か月。職場の顔が表なら、裏も当然あるわけで。彼女の素顔も徐々に分かるようになった。
朝が壊滅的に弱くて、起きて30分は石化してる。コーヒーは薄めが好きで、料理は得意じゃない。だがチャレンジ精神が功を奏したのかめちゃくちゃ美味い。
仕事用の無に近い表情は一度脱いでしまえば、テレビの前での百面相。そして、
風呂上がりのすっぴんは肌が綺麗で、下ろした髪から香るシャンプーは、彼女の匂いと混じって甘くなる。
今だって端で丸まって座ってるくせ、動くたびに鼻腔を刺激してくるから、うら若き健全なイチ男子としては必死に気を散らすしかないってのに、